『推し、燃ゆ』の感想

 読み終わって余韻に浸りながら書きます。

がっつりネタバレ含むので気をつけてね。


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まず題名『推し 、燃ゆ』というインパクト凄くないですか?

オタクなら推しが燃えるってこの字面を見ただけで心の端の方がヒヤッとしません?

表紙にある通り、「推しが炎上した。ファンを殴ったらしい。」

全然おかしいことじゃないんですよね。

アイドルに限ったことじゃないけど可能性として有り得ることじゃないですか、でも出来ることなら一生見たくない言葉じゃないですか。

小説でファンタジーだと分かっていても何故か心拍数は上がるし変な汗をかく。

息付く間もなく一気読みしたんですけど、主人公のあかりちゃんの推しの推し方。

めっっっっちゃ分かる(急なオタク人格)

推しを解釈したい。推しのことを知りたい。

この子はリアコでもないし茶の間でもない、所謂ガチ勢。だと思う。

推しが生きがいで推しが全て。真幸くん(あかりちゃんの推し)が全てなタイプ。

で、この子は普通の人がしている生活が難しいタイプで、生活力と言っていいのか難しいけど普通の生活をする、当たり前のことを当たり前にするのが難しいよう。ここらへんは読んだ方が早い。上手く説明できない。語彙がないので。

そんな子の推しが炎上して推しが芸能界引退、結婚(これに関しては直接的な文はないけど)(文中の左手の薬指の指輪から連想しました)した時の気持ちを中心に書かれてます。

もし自分なら?と重ねてしまうと本当にしんどくて、自分がオタクだから他人事と感じられなくて。

推しが自分の背骨であると表現したその言葉がまさにそうで。

これを読んで私が感じたのは、推しを推してる時、推しが存在していることを感じることで自分が生きていることに対して許しをもらえる気がして。

全然、私は周りからそんな風に言われて生きてきた訳でもないし恵まれてる環境だしオタクとしても人としても。

でも自分自身の意識の中で、推しを全力で推してる時が1番満ち足りてるんですよね。自分が生きてることを1番実感できる。

だからこそこの本を読んでてボロボロに泣いた。あかりちゃんの気持ちが他人事じゃなくて。

だから推しがいなくなるって境遇に立った時、私は二本足で生きていけるのかなと思う。

話がバラバラで申し訳ないんだけど、推しを殴った理由は最後まで分からなかったんですよ。あかりちゃんも含め。

そして推しが芸能界引退するってことはもう一生それは分からないの。どうして殴ってどうしてその言葉を使ったのか。

分からないまま生きていかなきゃいけないんだよね。それってあかりちゃんのような考えを持っているオタクってつらいんじゃないかなって思う。

つらいって言葉が適当なのか分からないけど他の語彙が思いつかない。

正直燃えてもいいから自分の目が届くところにいて欲しいって思うんですよ。私は、個人的に。

それすら出来なくなった時、現実の世界での自分の生き方1本になったらね、生き延びられるかね?怖いね。

推しが人になった時、オタクもまた人になる時じゃないかなって思います。